はじめに
横浜マラソン完走を目指し、ランニングに挑戦中の持田早智さん。
前回は、梅雨や暑さ、仕事や育児との両立の中で、「100点じゃなくても、できることを続ける」という考え方に変わってきたことを語っていただきました。
そして今回、トレーニングはいよいよ次のステージへ。
仲間と挑戦した90分走をきっかけに、「長く走るための自分のペース」や、競泳時代の経験とランニングが少しずつつながり始めています。
800mで息を切らしていた頃から、約3ヶ月。
横浜マラソンまであと2ヶ月となった今の、リアルな現在地を聞きました。

90分、めちゃくちゃ上手に走れました
最近は、時間に余裕がある時は1時間を少し超えるくらい走るようになりました。
昼休みなど時間が限られている時は、その中でできる分だけ走る。
あとはクラブでトレーニングしたり、自宅でトレーニングしたり。
走るのは週3回くらいで、トレーニングも組み合わせながら続けています。
そして先日、良さんたちと一緒に90分走に挑戦しました。
これがですね……
めちゃくちゃ上手に走れたと思います(笑)。
自分の感覚では、最初と最後でそんなに走り方が変わらなかったんです。
後半になって大きく崩れることもなく、同じような感覚で走れました。
走る前はもちろん、
「90分って長いな……本当に大丈夫かな」
と思っていました。
一人だったら「ダメだったらやめよう」でいいんですけど、良さんたちと一緒に走るとなると、なんとなく途中でやめられない感じがして(笑)。
しかも他の方も一緒だったので、「情けないところは見せられないな」という気持ちもありました。
でも、走り始めたらすごく楽しかったです。
いつも一人で走る時は、
「今このペースだから、もう少し落とした方がいいかな」
とか、ずっと頭を使っているんですよ。
でも今回は、良さんの横について走るだけ。
途中で会話をしていれば、自分の息が上がっているかどうかも分かります。
感覚的に走ることができたので、思っていたより全然きつくありませんでした。
最後の10分くらいは「もうすぐ終わる」と思ったら、そこからが長かったですけどね(笑)。

90分走っても、「5時間走る」はまだ全然見えません
90分走れたら、5時間走るイメージも少し湧いてきましたか?
……と言われたんですけど。
変わってないです(笑)。
正直に言いますね。
90分ですよ?
5時間って、まだその何倍もあるじゃないですか。
もちろん、自分が成長していることは確実に感じています。
でも、その成長の先の先までは、まだ見えていないです。
今は、90分の次に100分、その次に120分と、少しずつ階段を作っています。
来月にはハーフマラソンにもチャレンジする予定です。
特に次の100分走は一人でやる予定なので、そこは一つ大きなポイントかなと思っています。
みんなで90分走るのと、一人で100分走るのでは、精神的なハードルが全然違うと思うんです。
だから、一人で100分走れたら、すごく自信になると思います。
「何km」より「何分」の方が、落ち着いて走れる
最近は、距離ではなく「何分走る」というトレーニングが増えました。
実際にやってみると、私には結構合っている気がします。
「今日は10km」と距離を決めると、どうしても、
「速く走れば早く終わる」
って思っちゃうんですよ(笑)。
例えば「残り1km」となったら、早く終わらせたくてペースを上げたくなる。
でも、フルマラソンでは、自分のペースを長く維持することが大事ですよね。
だから、誰かペーサーが横にいなくても、自分の感覚で一番楽なペースを保つ。
そこが今のトレーニングなんだと思っています。
時間で決めておけば、速く走ってもゆっくり走っても、終わる時間は同じ。
だから距離を決めるより、落ち着いて走れる気がします。
大事なのは「最初の3km」

ペースを抑えて長く走るのって、意外と難しいです。
特に私は、最初の3kmくらいがすごく大事だと思っています。
そこで自分のリズムをうまくつかめないと、その後もなんとなく安定しない。
最初のうちは走れるので、ごまかせちゃうんです。
でも1時間を超えてくると、最初に無理をした分のツケが回ってくる。
フルマラソンだったら、それがもっと大きくなると思います。
だから最初の5km、10kmくらいまでに、
「このペース、このテンポ、この力の抜け方」
という自分のゾーンに早く入れることが大事なんじゃないかなと思っています。
実はこれ、競泳にも少し似ているんです。
競泳はもっと競技時間が短いので、スタートして飛び込んで、最初の数かきで自分のリズムにはめないといけない。
ランニングは、その長いバージョンなのかなって。
ペースだけ合っていても、テンポが合っていなかったり、力が抜けていなかったりすると、なんとなく走りにくい。
逆に、自分のフォームとペースが「バチッ」と合った日は、最後まですごく楽に走れます。
競技は違いますけど、今までの経験が少しずつつながってきている気がします。
私は「理由が分からないと頑張れない」タイプ
良さんからも言われたんですが、私は結構いろいろ調べるタイプです。
アスリートって、感覚派と論理派みたいなタイプがいると思うんですけど、私はどちらかというと、
「根拠が分からないとやらないタイプ」
なんですよね(笑)。
「これをやってください」
だけだと、あまり原動力にならないんです。
「こうなるために、このトレーニングが必要です」
と説明されると、
「なるほど、じゃあやろう」
となる。
昔からそうでした。
今、良さんは私にとって、いわゆる「指導者」というよりサポーターに近い存在だと思っています。
なので、自分で自分を指導しないといけない。
自分で自分のお尻を叩くためにも、
「なぜこれをやるのか」
を理解して、自分自身を納得させてから練習する必要があるんです。
だから、情報収集も結構しています。
今はフォームが崩れていることには、自分で気づけるようになってきました。
ただ、
「崩れた時にどうしたら戻せるか」
までは、まだ分かりません。
そこが今の課題ですね。
「100点」じゃなくて、合格点を超えればいい

前回、「4〜5割でもいいから続ける」という話をしました。
今はもう少し考え方が変わってきています。
そもそも、
100点って、別にいらないんじゃない?
って(笑)。
合格点を超えていたら、それって実質100点じゃないですか。
マラソンって、100%の力を一瞬出す競技ではなくて、70点とか80点くらいの出力で長く動き続ける競技だと思うんです。
だから、100点を出す必要のない競技なんだなって。
以前は、
「今日はこれができなかった」
「ペースが遅かった」
「心拍数が高かった」
と、一つ一つ気にしてしまうこともありました。
でも今は、
「昨日立ち仕事が多かったからかな」
「睡眠が少なかったからかな」
「食事が少し重かったかな」
と考えるようになりました。
調子が良かった日も、悪かった日も、全部が経験値。
「今日はペースが遅いのに心拍数が高かった」
という日があっても、
「まあ、それはそれ」
と思えるようになってきました。
スタート時の私には、「早く誰かに聞きに行け」と言いたい
第1回インタビューでは、800mも走れずに、
「あと41km以上あるんだけど……」
って絶望していました(笑)。
今振り返ると、その頃の自分に一番言いたいのは、
「早く誰かに聞きに行け!」
ですね。
スポーツって、どの競技でも独学だけでやるのは良くないんだなと改めて思いました。
ある程度、その競技に詳しい人に最初の一歩を教えてもらう。
それってすごく大事なんですよね。
ランニングって、特に誰にも教わらず始めやすいじゃないですか。
靴を買って、とりあえず走り出す。
私もそうでした。
でも、初心者って、
「こんなにできない自分が聞いていいのかな」
と思っちゃうんですよね。
私自身もそうでした。
「今ランニングやろうと思ってます」って言うこと自体が、ちょっと恥ずかしかった。
でも今は逆だと思います。
まだ何も分からない時こそ、誰かに聞いた方がいい。
変な癖がつく前に、土台がきれいな状態で教えてもらえる。
だから800mでゼーゼーしていた自分には、
「その恥ずかしい状態だからこそ、聞きに行った方がいいよ」
って言いたいです。
「ハーフなら絶対大丈夫」と思えるようになりました

横浜マラソンまで、あと2ヶ月。
最近は、行く先々で、
「ランニングやってるんでしょう?」
「頑張ってね!」
と声をかけていただくことが増えました。
スタッフの方だけじゃなくて、会員の方にも言っていただいて。
先日もイベントで、
「僕もマラソン好きで走ってます。横浜出るんですよね?」
って声をかけていただいたんです。
すごく嬉しいですね。
自分が走り切った時に、応援してくれている皆さんが一緒に喜んでくれる。
それが今はすごく楽しみです。
それと最近、自分の中で成長の段差が大きくなってきた気がしています。
最初はフォームを整えて、少しずつ走れるようになって……という地味な時期が長かったんです。
でも今は、
「この間まで60分だったのに、90分走れた」
という、大きな成長を感じられるようになりました。
だから、あと2ヶ月。
この階段を一つずつちゃんと上っていけば、
「いけるんじゃないかな」
と思えるようになってきています。
そして9月には、ハーフマラソンにもチャレンジする予定です。
これはめちゃくちゃ楽しみです。
今、自分がどれくらい走れるのか試してみたい。
正直、ハーフは絶対大丈夫って思っています。
前までは、ハーフですら怖かったんですよ。
でも今は、
「ハーフくらいなら、もう大丈夫でしょう」
と思えている。
それが一番、自分でも成長を感じるところかもしれません。
それでも怖いのは、「気合と根性ではどうにもならないこと」
楽しみが増えてきた一方で、怖いこともあります。
それは、脚がつったり、熱中症や脱水になったりすること。
つまり、気合と根性ではどうにもならないことです。
多少きつくても、気持ちで頑張れるなら、まだいいんです。
でも、身体が言うことを聞かなくなったらどうしようもない。
そこは今でも怖いですね。
だから、本番の日は暑くないといいなと思っています(笑)。
まだ42.195kmを走り切った自分は、完全には想像できていません。
でも、800mで終わっていた頃と比べたら、
「絶対無理」
ではなく、
「ここからちゃんと積み上げれば、いけるかもしれない」
に変わってきました。
あと2ヶ月。
まずは100分、120分。
そしてハーフマラソン。
一段ずつ階段を上っていきたいと思います。
おわりに
800mで「あと41km以上あるの!?」と絶望していたスタートから、90分走、そして次は100分、120分、ハーフマラソンへ。
今回のインタビューで印象的だったのは、走れる距離や時間が伸びたこと以上に、持田さん自身の「走り方」や「向き合い方」が変わってきたことでした。
速く走ることより、自分のペースを知ること。
100点を目指すことより、今の自分に必要なことを理解して積み重ねること。
そして、分からないことは誰かに聞きながら、自分なりの答えを見つけていくこと。
「絶対無理」だったフルマラソンが、少しずつ「いけるかもしれない」に変わり始めています。
次はいよいよ、120分走、そしてハーフマラソンへの挑戦。
本番まで残り約2ヶ月。さらに実践的になっていく持田さんのチャレンジを、引き続き一緒に追いかけていきます。

